
厄除け狛犬(豊山町 土鈴)
愛知県西春日井郡豊山町の指定文化財である八所神社の狛犬をモチーフとして素焼きの陶器で仕上げました。狛犬の名称は、異形の姿が日本では異国の犬、すなわち高麗(こま)の犬と考えられたことに由来しています。八所神社で厄除けのお祓いを行い、売上の一部を寄付しています。
単価:一一〇〇円(税込)

令和8年6月28日、NPO法人モチーフ5周年祭のイベントとして八所神社の狛犬をテーマに座談会を開催しました。お話をうかがったのは中部大学の水野教授、八所神社の山縣宮司と大野総代の3人と主催のモチーフ井上さんです。なごやかに進んだ話題は、八所神社の長い歴史に始まり、連綿と続く地域の暮らしや文化、そしてモチーフが紡ぐ新しいつながりにまで広がりました。

水野 智之さん
中部大学 教授
昭和44年生まれ。日本中世史や東海地域史の専門家。豊山町史の編さん委員も務める。
「室町時代の木製の狛犬は非常に貴重。先人の努力の上に今がある。そのすごさを多くの方に知ってもらいたい。」

山縣さん
八所神社 宮司
昭和20年生まれ。
「1500-1300年ぐらい前に物部氏が移り住み、集落ができ、そのころに八所神社もできました」

大野さん
八所神社 総代
昭和33年生まれ。生まれも育ちも豊山町。
「八所神社の狛犬はモチーフで注目されて日の目を見たという感じです」

井上 愛さん
モチーフ 理事長
「狛犬の土鈴づくりも、地元のものを使うことと手仕事を大切にしています。」

伊藤 幸子さん
編集者 司会進行
『福祉施設発!こんなにかわいい雑貨本』共著者
井上さん:2021年6月にモチーフを設立、生活介護事業所フレームの開所から5年を迎えました。大野さんとのご縁やご近所の皆さんのおかげで、活動を続けられていること、とても感謝しています。当初、豊山町のことを全く知らなかったので、周辺を歩きまして八所神社も行きました。そこで町指定文化財の狛犬の立て看板を見ました。うちはものづくりで地域とつながりたい、できたらこの土地のものや技術を使い、土地の文化に触れたいという思いがあります。それが八所神社の狛犬さんとつながって、狛犬さんを制作させていただくところまで来ました。狛犬とともにある5年と言っても過言ではないのです。今回は、改めて町や狛犬について皆さんと分かち合えたらと思います。
-まず宮司の山縣さん、八所神社の歴史を教えていただけますか。
山縣さん:八所神社は奈良時代にできました。『延喜神名式』に尾張国春部郡豊場郷に物部神社ありと記されております。1500年から1300年ぐらい前に奈良から物部氏がこの辺りに移り住み、集落ができました。神社もそのころにできたわけです。当時は物部氏の神社ですので物部神社、ほかに八所大明神とも呼ばれました。明治になって現在の八所神社となりました。今は豊山町ですけども、もともとは古文書にあるように豊場郷と呼ばれていました。豊場郷と青山郷とが合併して明治39年に豊山村になり、それがまた豊山町になりました。
-豊場も豊と青山の山で豊山なのですね。明治までを聞いたので、それ以降の話を大野さんからお願いできますか。
大野さん:僕はここで生まれ育ちました。子どものころは学校が終わると友だちと八所神社で日が暮れるまで遊んでました。お祭りのときは屋台がいっぱい並んで、今と同じように山車が各町内から出てましたね。
山縣さん:伊勢湾台風の前まではお祭りで馬を走らせていました。かつては神社から200メートルぐらい南に鳥居があって、そこから神社まで大人が竹で馬を追い込む勇壮なお祭りでした。
-神社は日々の遊び場であり祭礼の場であり、子どもにも大人にも大切な場所だったのですね。次に豊山町史の編さんに携わられた水野先生からお話いただけますか。
水野さん:大学では歴史地理学科に所属しています。令和4年の豊山町50周年を記念した町史編さんのお話をいただいて、八所神社や常安寺などの資料を集め、勉強させてもらいました。町史を読みまして思うのは、豊山町はずっと行政サービスがすごく手厚い町だということです。役場の方はどうしたら住民によいかと考えておられ、財政的にも余裕があり、全国に先駆けていろんな施策を一生懸命されています。
-文字通り豊かな町なのですね。大野さんはずっとここにお住まいだそうですが、この辺りのことを教えていただけますか。
大野さん:水野先生から去年うかがったのですが、モチーフが面している道は清洲街道と呼ばれ、清洲まで続く古い道なのですね。この場所は、かつて江戸の末か明治に建てられた家があって2階で養蚕をしていました。私もかすかに覚えています。それを昭和40年頃に建て替えて、美容院と時計屋、生地屋になりました。向かいが八百九さんという八百屋であり何でも屋でもあった店で、2階で料亭もやっていて、戦後けっこう賑わっていました。ほかにも米屋さん、お菓子屋さん、鍛冶屋さん、本屋やうどん屋もありました。賑やかなところでした。
井上さん:八百九さん、私は見たことないですが名前はよく聞きます。施設を説明する時にヤオクさんの向かいと言うと、地元の方は「あぁ~」と分かってくださいます。
-賑やかだった街道筋に、今はモチーフがあると。新しい賑わいになっているのかもしれないですね。活動について、井上さん教えていただけますか。
井上さん:設立当初、ものづくりをやると近所の方に言っていたら、この辺りで採れるからと渋柿をいただき、柿渋染めを始めました。大量の柿渋液を作るのは環境的に難しく、揖斐の農家さんから仕入れるようになりました。豊山町の農家さんにはイチジクの枝木をもらい、燃やした灰で灰汁を作って媒染液にして、柿渋染めで使っています。狛犬さんも作っていて、これもうちの障害のある人たちの活動のひとつになればと取り組んでいます。型に流し込んで作っていて、これは大量生産向きのやり方ですけれど、私たちは量産を求めてはいなくて、地元のものを使うことと手仕事を大切にしています。土は岐阜の多治見のもので、土らしさを出すように作っています。豊山町のふるさと納税の返礼品にもなっていて、その狛犬さんは柿渋イチジク染めの袋と桐の箱に入っています。
-なるほど近隣の農産物が染め物につながり、やきものの産地の多治見の土で陶芸をやっているのですね。八所神社の狛犬さんについて、山縣さん何かエピソードなどはありますか。
山縣さん:それが全くないのです。室町前期ぐらいに奉納されたらしいですが…。
水野さん:熱田神宮で展示されたのですよね。
山縣さん:昭和30年か40年ぐらいに熱田神宮で愛知県の狛犬展があり、県内の由緒ある狛犬が集められ、そこで展示されました。ただ狛犬に関する文書がなくて詳しいことは分からないのです。私が子どものころには本殿の前にあったんですけども、ほかの神社での盗難を新聞などで見聞きして心配になって、今は社務所にあります。
-大事なものですものね。文化財にも指定されて。
水野さん:豊山町の文化財に指定されています。室町時代の木製の狛犬は非常に貴重なので、最初に見たときはびっくりしました。瀬戸の深川神社の鎌倉時代の狛犬が陶製で古いので、陶製も盛んなのかなと思ったのですが、先日、愛知県陶磁美術館の方にうかがった話ですと、もともと木製がオリジナルなのだそうです。きっと地域で資金など工面をされて、大工さんだとかに頼んで作っていただいたのでしょうが、なかなかないものだと思います。
-そんな貴重なものに井上さんは目をつけられたわけですね。大野さんは、何か狛犬の思い出などありますか。
大野さん:総代として社務所に出入りしますけど、社務所の一番奥、あまり見えないような場所にあるのです。モチーフさんに注目されて、日の目を見たという感じです。
-柔らかい雰囲気で可愛いですよね。鈴でもあるのですね。
井上さん:厄除けの土鈴です。ここで製作過程を写真で紹介しますね。まず泥を作るところから始まります。土と水ともう一つ固まるものを入れてガーッとかき混ぜる。素焼きなのでこの土色が一番のポイントで、こういう柔らかい色がいいと、土屋さんに配合していただいています。型にこの泥を入れて成形し、型から出して乾かして、奥にある窯で焼きます。簡単に説明しましたが実は、けっこう細かいんです。型から出しただけだとつるんと大量生産的なものになってしまうので、わざわざ土を塗ったりして。原料の土も焼成後プツプツが出るような配合になってます。そして焼いた後も、一体一体ちょっと表情をつけたり、秘密の工程も経ながら狛犬ができ上がります。
-地域の歴史や文化を引き継いだ手仕事、素敵ですね。今日は千年以上前の八所神社の創建に始まり、モチーフの狛犬さんでまとまりましたが、会場の方から質問や補足などありますか。
北澤さん(フレームメンバー):作った狛犬を八所神社でお祓いしてもらってます。
-ありがとうございます。大事なことですね。由緒ある神社でお祓い、ご利益がありそうです。
山縣さん:八所神社の狛犬はすごく勇壮ですが、こちらは手軽でいいんじゃないですかね。
-素敵なものができました。文化財がこんなかわいらしいものになるなんて。
水野さん:なかなかモチーフさんのような試みは少ないので、地域の文化財を大事にしていただける方が増えると嬉しいです。長年保存されてきた、なかなか残らないものです。先人のご努力の上に今がある。ぜひともそのすごさを多くの方に知っていただけるといいなと思います。
-八所神社や地域の歴史と文化財が、今モチーフの活動につながって、豊山町のふるさと納税にもなっていると。おもしろいですね。
井上さん:この座談会のためにご登壇者さんには、八所神社や地域のことをお話しくださってありがたいなと思います。ご近所の方も来てくださって本当に嬉しいです。今日は本当にありがとうございました。

愛知県西春日井郡豊山町の
ふるさと納税返礼品として、
柿渋無花果染めの収納袋と桐箱に納めた
特別セットをご用意しております。
狛 犬:粘土(岐阜県美濃地方)・鋳込焼成(愛知県豊山町)
収納袋:柿渋(岐阜県揖斐郡)・無花果(愛知県豊山町)
木 箱:桐(三重県熊野)
ご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。3営業日以内に折り返しご連絡させていただきます。













