柿渋染め

秋になると赤く色づく柿。鈴なりに実をつけた柿の木に、季節の訪れを感じる人も多いのではないでしょうか。食べて美味しいのは甘柿。一方渋柿は苦くてカラスも食べません。柿渋染めというのは、この苦~い渋柿を使うから、そう呼ぶのでしょうか。半分違ってて、半分当たってます。柿渋は、赤い実を使うのでなく、色づく前の青い実をすり潰した果汁からできる液体です。

秋ではなく夏真っ盛りの8月が収穫時期。そしてこの時期の青柿には、渋柿の苦~い元となるタンニンがたくさん含まれています。このタンニンには防腐、抗菌、防虫効果など様々な効能があり、古くから塗料や薬、そして染物にも用いられてきました。

愛知県豊山町にあるFLAMEでは、近郊で採れる材料を使って、柿渋染めを行っています。原材料である柿は、岐阜県揖斐川で生産されている田村柿。青柿の間に収穫し、粉砕器で絞った後、大きなタンクで3年以上かけて発酵・熟成したものを使用しています。

次に、生地と染液を馴染ませて発色させる役割をする媒染剤は、錆びた釘や米酢、庭木の剪定で出た椿など身近なもので手作りしています。仕上剤は、地元豊山町で収穫した無花果の枝木を燃やして作った灰汁や、多治見の窯焚きから出た雑木灰で作った灰汁を使用しています。

生地は、愛知県の知多半島で生産されている知多木綿。主に浴衣・甚平・手ぬぐいなどに使われる小幅の生地で、旧式のシャトル織機でゆっくりと織り上げられる生地は独自の柔らかな風合いを持ち、生地表面が非常に美しいのが特徴です。また、緩やかな水流の釜の中で2、3日かけて不純物を落とす和晒という仕上げにより、しなやかで吸水性が良く、染料も浸透しやすい生地になります。

この知多木綿に柿渋の染液を通し、何度も染色と天日干しを繰り返すことで、発色の良いハリのある強度な生地に仕上げています。愛知、岐阜の名品がたくさん詰まった柿渋染め、どうぞ一度手に取ってご覧ください。

色の掛け合わせ|蓼藍

色を掛け合わせる上で、柿渋と相性の良い藍を育てています。藍で染めた後に柿渋を重ねても、柿渋で染めた後に藍を重ねてもどちらでもOK。色の変化を楽しめそうです。育て方は、苗床に種を蒔き、少し育ったら広いスペースに定植します。日当たりが良いとぐんぐん育っていきます。背丈が50cmほどに育ったタイミングで一番刈りを行い、うまく育てば三番刈りまで行えます。翌年用の種を収穫するため、藍を刈り取らないで花を咲かすまで残しておきます。

今回は乾燥方法の異なる葉をブレンドして染色を行いました。柿渋との掛け合わせが楽しみです。

製品例

柿渋染めをベースにしたものづくりを請け負っています。
製品企画から染色、縫製など一貫してご対応できますのでお気軽にご相談ください。

喫茶ニューポピー

創業昭和52年、親子二代に亘るファミリーヒストリーな純喫茶。
ドリップパックやアイスコーヒーなど珈琲製品のギフトパッケージを兼ねたバッグをお作りさせていただきました。染色は柿渋と珈琲を組み合わせた、柿渋珈琲染めで、焦茶色に染め上げています。

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